家庭内の光熱費削減を主な目的として、2008年に誕生したのがエネファームです。正式名称は「家庭用燃料電池コージェネレーションシステム」と言います。

誕生したばかりの頃は300万円を大幅に上回る製品でしたが、現在は150万円を切るものも出てきていて、補助金も考慮すると以前よりは手を出しやすくなっています。

なお、2015年3月にENEOSが、2017年7月に東芝が、それぞれ開発生産から手を引いたため、現在はパナソニック製とアイシン精機のエネファームのみが市販されています。

仕組み

エネファームの仕組み

エネファームのシステム構成図
(出典:燃料電池普及促進協会

エネファームの基本的な仕組みは上のイラストの通りです。1枚目はエネファームによる発電と給湯のおおまかな流れを、2枚目はエネファームのシステム構成を表しています。

エネファームとは「家庭用燃料電池コージェネレーションシステム」の愛称です。つまり、燃料電池とコージェネレーションの両方の機能を有していると言えます。

ちなみに、燃料電池ではなく、ガスエンジンを用いている家庭用コージェネレーションシステムをエコウィルと言いますが、こちらは2017年に販売終了となりました。

メリット

エネファームの代表的なメリットは「省エネと電気代削減」です。

ガスから水素を取り出し、その水素で燃料電池が発電を行い、同時に排熱を利用して給湯も行うという仕組みですので、電気代を削減することができます。

他にも様々なメリットがありますので、以下に箇条書きにしてまとめてみました。

  • 停電時にも自立運転が可能(一部製品)
  • 国や自治体の補助金制度が設けられている
  • 発電した電力を使えるため、電気料金の削減につながる
  • 燃料電池を採用しているため、発電時に騒音を出さない
  • メーカーの努力もあり、製品価格は少しずつ下がりつつある
  • エネファームを設置している住宅専用のガス料金優待プランが存在する
  • 燃料電池を採用しているため、発電時に二酸化炭素や有毒ガスを出さない
  • コージェネレーションの機能もあるため、発電時の排熱を有効利用できる
  • リモコンのモニターから、リアルタイムで発電量や使用電力量を把握できる
  • エネファームを設置した住宅で発電を行うため、送電ロスがほとんど存在しない

デメリット・課題・問題点

今度は逆にデメリットをご紹介します。

前述の通りメリットの多いエネファームですが、まだ広く普及しているとは言い難い現状です。更なる普及を目指すためには、エネファームに付いて回る課題や問題点を克服する必要があるでしょう。

  • 停電時には自立運転が不可能(一部製品)
  • 補助金制度は用意されているものの、製品価格が高い
  • 太陽光発電と異なり、発電した電力を電力会社へ売電することができない
  • 製品価格が高いため、設置導入による電気代削減効果に満足がいかない方もいる
  • 無期限に使えるという訳ではなく、メンテナンスや点検を行っても寿命は最長で20年ほどである
  • 都市ガスに用いられている天然ガスは海外からの輸入に依存しているため、輸入価格が高騰するとガス料金も高騰する可能性がある

価格・補助金

エネファームの設置導入を検討する際に重要な材料となるのが「価格」と「補助金」ですが、まずは現在市販されているエネファームの価格をご紹介します。

メーカー 税抜き価格
パナソニック オープン価格(約150万円)
アイシン精機 132万円(自立運転不可)
168万円(自立運転可)

一般的な戸建て住宅に設置した場合、年間で5,6万円ほど光熱費を削減できるという点は大きな魅力ではありますが、本体価格が安くてお得と言えるような金額ではないため、設置導入に二の足を踏んでいるケースも少なくありません。

そのため、普及促進を目的とした補助金制度が設けられています。

エネファームの補助金

エネファームの補助金の計算

基準価格や裾切価格など、聞き慣れない言葉が多くて分かりにくいですが、簡単に言ってしまうと以下の通りです。

  • パナソニック製エネファームの補助金は最大12万円(追加補助額×4)
  • アイシン精機エネファームの補助金は最大20万円(8万円+追加補助額×4)

2019年度からPEFCのエネファーム(パナソニック製エネファームが該当)は定額補助の対象外となったため、追加補助のみが適用となります。

詳細は補助金の管轄をしている燃料電池普及促進協会をご覧下さい。

エネファームのメーカー

かつてはエネファームの大手メーカーとして4社が存在していましたが、2015年にENEOSが、2017年に東芝が撤退したため、現在はパナソニックとアイシン精機の2社が残っています。

パナソニック製エネファームはPEFC(固体高分子形燃料電池)を採用し、アイシン精機製エネファームはSOFC(固体酸化物形燃料電池)を採用しているという違いがあります。両者を区別するためにアイシン精機製は「エネファームtype S」とも呼ばれます。

まずは価格からご紹介します。実は「エネファーム」と一口に言っても、一つの製品だけが販売されているという訳ではありません。

主に3つの製造メーカーがあり、各メーカー共に機能や性能に多少の違いがあります。そのため、価格もメーカーによって異なっていますので、以下にメーカーごとに価格をご紹介します。※ENEOSと東芝の撤退により、現在はパナソニック一択となっています。

パナソニック

パナソニック製のエネファーム
(出典:パナソニック

パナソニックは社内分社のアプライアンス社を通じて、エネファームの製造販売を行っています。

1番最初の2009年モデルは税抜で300万円を超える価格でしたが、2013年モデルから200万円を、そして2017年モデルは150万円を切る価格となりました。最新の2019年モデルはオープン価格ですが、2017年モデルとほぼ同じ価格です。

徐々に低価格化が進んでいるとは言え、まだまだ高額な設備となっていますが、それでも低価格化と共に普及台数も徐々に増えてきています。

研究開発の歴史

昔からパナソニックでは燃料電池の研究が行われていましたが、燃料電池の専任部隊を設けて本格的に基礎技術の開発を始めたのは1999年のことです。

エネファームの大手製造メーカーであるENEOSや東芝と比べると始まったのは遅めではありますが、ここから一気にパナソニックの燃料電池は成長を遂げます。

2001年の上半期には、基礎技術の開発から実用化技術の開発へと歩みを進めます。

実用化技術開発は2003年半ばまで続きますが、2002年には社長プロジェクトとして燃料電池が取り上げられるなど、パナソニックがいかに燃料電池開発に力を入れていたかをうかがい知ることができます。

2003年半ばには、実用化技術の開発から商品化開発へと移り変わっていきます。同年開催された「世界ガス会議」に同社製の燃料電池を出展したり、2004年には大規模実証向けモデルの発表も行われました。

2005年からは大規模実証がスタートしました。前述の大規模実証向けモデルの1号機を首相官邸に納入し、2008年には滋賀県に燃料電池の新工場「草津工場」を建設しました。

燃料電池普及促進協会が発足し、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの名称が「エネファーム」に定められたのもこの頃です。

2009年からパナソニックはエネファームの販売を開始しました。2011年に初めてのモデルチェンジを行い、その後は2013,2015,2017,2019年とだいたい2年ごとに新しいモデルを発表しています。

そして、エネファーム製造メーカーとしてライバルであったENEOS(2016年)と東芝(2017年)がエネファーム事業から撤退したため、現在のエネファームのシェアはパナソニックがトップとなっています。

アイシン精機

アイシン精機製のエネファームtype S
(出典:アイシン精機

アイシン精機はSOFC(固体酸化物形燃料電池)を使用した「エネファームtype S」の製造販売を行っています。

自立運転機能がない標準モデルは132万円、自立運転機能付きモデルは168万円です(価格はいずれも税抜表記)。

先述のパナソニックのように独自に開発しているわけではなく、大阪ガス・京セラ・トヨタ自動車との共同開発です。

2018年4月に新型モデルが誕生しました。従来製品はセット用給湯器の対応メーカーがノーリツ製のみでしたが、新型モデルではパーパス製やリンナイ製も選べるようになりました。

なお、性能やサイズ等に大きな変更点はありません。従来通り、標準モデルと自立運転機能付きモデルの2種類が用意されています。

東芝 ※2017年7月製造終了

東芝のエネファームの外観

東芝のリモコンの仕組み
(出典:東芝エネルギーシステムズ※削除済み)

東芝は子会社の東芝燃料電池システム(現:東芝エネルギーシステムズ)を通じて、エネファームの出荷をしていました。※2017年7月製造終了

販売価格は、自立運転機能なしのモデルが約160万円、自立運転機能ありのモデルが約180万円でした。

研究開発の歴史

エネファームの大手製造メーカーの中で、燃料電池の研究開発の歴史が最も長い企業が東芝です。

1978年にPAFC(リン酸形燃料電池)という種類の燃料電池の開発を本格的に始め、4年後の1982年には実験プラントにて発電を成功させています。これは、加圧型としては日本で初めての燃料電池による発電でした。

この時から1995年年までの間に、PAFCの技術を用いて11メガワット級の巨大プラントの開発を成功させたほか、200キロワットの商用向けの燃料電池の出荷も始まりました。

なお、巨大プラントは実験用として東京電力の五井火力発電所に納入され、発電を通じて様々な実証研究が行われました。

1999年からは国の支援も受け、PEFC(固体高分子形燃料電池)というタイプの燃料電池を用いた家庭用製品の試作が行われるようになりました。最初に施策されたのは電源の確保が困難な場所でも動作する「燃料電池形自動販売機」でした。

2000年に現在のエネファームの源流となる初期モデルが完成し、2004年までは小規模な実証試験が行われていました。その後、2005年から2008年にかけては、製品の大量生産や事業性などを加味した国による大規模実証事業に関わりました。

2009年になってエネファームとして正式に販売が始まりました。

しばらくはこのモデルが販売され続けましたが、2012年6月からは停電時にも発電を始めることができる自立運転機能が付いた次世代型のエネファームの販売がスタートしました。この点は東芝製エネファームの大きな強みとなっています。

ただ、2015年度からはエネファーム事業の赤字が続いていて、将来的に収益が回復する見込みもあまりないとの判断から、最終的に2017年7月に市場から撤退することとなりました。

ENEOS ※2015年4月製造終了

ENEOSのエネファームの仕組み

ENEOSのリモコンの仕組み
(出典:ENEOS※削除済み)

ガソリンスタンドでお馴染みのENEOS(エネオス)は、パナソニックや東芝と並んでエネファーム製造メーカーの大手でした。※2015年4月製造終了

使用する燃料電池の種類が異なる「Type S」と「Type P」という2タイプのエネファームを製造していて、価格は共に約270万円でした。

研究開発の歴史

ENEOSでは1986年から燃料電池の実用化に向けた研究が行われていました。

当時はPAFC(リン酸形燃料電池)の要素研究を行っていて、1991年から実証研究がスタートしました。時を同じくして別の種類であるSOFC(固体酸化物形燃料電池)の要素研究も始まりました。

21世紀に入ってから、PAFCの商用化に成功し、SOFCの実証研究も行われるようになりました。同様にまた異なる種類となるPEFC(固体高分子形燃料電池)の実証研究も始められています。

ENEOSのエネファームとして最初に誕生したのはPEFCを用いたタイプです。燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)によってエネファームという名称が定められた翌年の2009年5月に発売が開始されました。

そして、研究開始から約20年の時を経て、2011年10月にはSOFCを用いたタイプのエネファームの販売が開始されました。最初は先行モニターを対象としていましたが、3ヶ月後の2012年1月から一般にも販売されるようになりました。

当時は前者のエネファームを「Type P」、後者を「Type S」と名付けて販売していましたが、2015年3月を最後にSOFC型の生産は終了しました。

その後はENEOS独自でエネファームの開発や生産をすることはなくなり、「Type P」や「Type S」といった呼称もなくなりました。

現在は、同社の仕入れ品である「PEFC型家庭用燃料電池エネファーム」の販売と、既に販売設置済みであるエネファームのアフターサービス業務を行っています。

エネファームを導入した方の感想

評価:4.50(4)

おすすめ!
満足度 5.0

アイシン精機製エネファームで月5千円安くなりました

父が亡くなってから、実家で母と同居していますが、家を建ててから90年くらいたっている古い家で、とにかくすきま風なども多くて、冷暖房費がすごくかかります。

父がいた時には来客も多くて、分電盤も一番大きい容量のがついていて、小さいのに変えることも今の状態ではできないらしく、単価をかけるととても高額な電気代になります。

秋にガスのキャンペーンでエネファームのシミュレーションをしてもらい、私たちの過去1年のガスと電気の毎月の料金を出しました。「これだけかかっているなら、エネファームに変えた方が…」との事で、検討しました。

実際に安くなっても、エネファームの本体代金がかかるので、その代金も含めて試算しました。安くなるとは思いましたが、実際に稼働してみないとわからないこともあり、どうなるのか、不安な点もありました。

現在、エネファームをつけて2ヶ月くらいですが、今のところ月に5000円くらいは安くなっている感じです。これを機会に、電化製品を何点かエコ商品に変えたりしていくと、また料金も違ってくるかと思っています。

一番良かったのは、売電・買電・ガス代などを数字でいつでも確かめられて、家族全員がエコに対して、すごく重点をおくようになり、今までつけっぱなしだった照明とかがなくなってきたことです。

環境を意識することにもなったし、エネファームつけて良かったと実感しています。ちなみに、うちのエネファームはアイシン精機製です。

おすすめ!
満足度 5.0

月々の電気代が半額に!

新築を建てる際、いろいろな発電装置やソーラーなどを見比べた結果、最終的に決めたのがエネファームでした。

魅力として、「電気代の削減」が挙げられます。様々な設備を見た中でも、グッと電気代が安くなるとお話を聞きました。実際使ってみると電気代が、今までのアパート生活の2分の1くらいになり、ビックリしています。

それから、初期投資の費用が安かったところもよかったです。設備が高いという意見も聞きましたが、なにを付けるにしても金額は変わらないかなという感じがしました。

また、地方自治体から補助金が出ます。私の住んでいる地域でも、少しですが補助金がもらえました。

その他、最大のメリットとして、災害時にも使えるという事が挙げられます。近年、自然災害なども多く、いつ自分が被災するかはわかりません。

その中で、自宅で避難生活を送れれば良いなと考えました。停電時にも困る事なく使用できるのは、小さな子どもを抱える場合、とても助かります。

我が家ではパナソニック製を使っていますが、騒音が無く、モーター音もしないので、家が密集している地域でも迷惑にならずに使えると思います。

おすすめ!
満足度 4.0

元を取れるかどうか…

パナソニック製のエネファームを使っています。

エネファームを設置しての感想ですが、本体価格が比較的高額だったことと、太陽光発電とは異なり電力会社に売電するためではなく、自宅での消費用になるため、ある程度は自分で削減努力をしないと本体価格の回収には至らないかもしれません。

また、稼働率にもよるみたいですが、設置したら永久に使用できるものではなく、20年前後が寿命みたいです。そのため、約20年間で本体価格を回収しなくてはいけないのですが、それができるのかはまだ不透明です。

しかし、実際設置すると、本体価格を回収しようと一応の努力目標ができ、電気料金の削減につなげる努力をするようになります。また、それに伴って環境保護に貢献できることになるため、環境に優しい商品だと思います。

おすすめ!
満足度 4.0

ローンを組んでまで採用するほどではない

エネファームとは、簡単に言うと「天然ガスを使って発電させる機械」です。エネファームは、発電だけする機械ではなく、給湯器の役割も果たします。

しかも、学習能力があり、設置してから1ヶ月ぐらいすると、電気をよく使う時間や使わない時間などを学習してくれ、だいたいその時間くらいに発電したりします。

エネファームを購入した時に、営業マンに「上手に使うと必ずと言っていいほど電気代が安くなります」と言われました。うちの家庭は、確かに高い時間帯での電気使用量が多いので、今までの電気代の半額近くなりました。この数字を見た時はビックリしました。

電気代は安くなるのですが、天然ガスを使用するので、ガス料金は上がります。しかし、電気代が減った分を考えると全然お金は浮きます。

設置費用が高いので、ローンを組んで支払いする方にはあまりおすすめできません。太陽光と違い、売電収入がないので、ローン代が家計にプラスされることを考えると、電気代が浮いてもどちらかというと支払いの方が増えてしまうからです。

一括で設置費用を払える人か、環境を第一に考える人にはおすすめの商品です。

マイホームで後悔しないために

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